愈史郎というキャラクターの根幹には、彼が「無惨ではなく珠世によって鬼にされた」という歴史的例外があります。公式ファンブック『鬼殺隊見聞録』などの記録によると、人間時代の愈史郎は不治の病に侵され、若くして余命幾ばくもない絶望の淵に立たされていました。
医師として潜伏していた珠世は、彼に対して「人として命を落とすか、人肉を少量摂取して鬼として生き永らえるか」の選択肢を提示します。自らの意志で鬼となる道を選んだ愈史郎は、無惨の支配(呪い)を一切受けておらず、珠世の研究によって少量の血液を飲むだけで人を襲わずに生きられる身体を手に入れました。
この特異な出自が、彼にとって珠世を「主」以上の、自らの魂を救済した絶対的存在として崇拝させる原点となっています。声優を担当した山下大輝さんが演じる、珠世への盲目的な心酔と周囲への攻撃的な態度のギャップは、過酷な過去を背負った青年の切実な防衛本能の表れでもあります。