米農務省(USDA)などの国際的な公的ガイドラインでは、「マイナス18度以下で適切に冷凍され続けている食品は、理論上、無期限に微生物の繁殖を防ぐことができる」と明記されています。細菌やカビなどの微生物は水分が凍結した環境では活動できず、休眠状態に入るためです。この学術的事実だけを捉えると、冷凍肉半年放置の安全性は問題ないように思えます。
しかし、家庭環境においてはこの理論がそのまま通用しません。内閣府食品安全委員会や厚生労働省が警鐘を鳴らすように、家庭用の冷凍庫は1日に何度も開閉され、庫内温度が一時的にマイナス10度前後まで上昇する「ヒートショック」が日常的に発生しています。温度の上下動が繰り返されると、肉の細胞内に生じた氷の結晶が成長して細胞壁を破壊し、内部の水分が抜けていきます。
また、注意すべきは「冷凍しても菌は死滅しない」という冷酷な事実です。パック内に元から付着していたカンピロバクターやサルモネラ属菌は、冷凍庫の中で眠っているに過ぎません。消費期限を大幅に過ぎた冷凍肉の賞味期限切れ製品を半年放置した場合、腐敗菌によるドロドロの腐敗は免れても、解凍時のわずかな温度管理ミスで細菌が爆発的に再活性化する温床となります。「半年経っても加熱すれば安心」という考え方は、家庭の保存環境においては極めて危うい賭けといえます。