現在、保護猫シェルターや譲渡会の現場で深刻な問題となっているのが、FIVに対する誤った忌避感による「譲渡機会の損失」です。血液検査で陽性というラベルが貼られただけで、性格が温厚で健康そのものであるにもかかわらず里親が見つからないケースが後を絶ちません。ここには、広く知られていない2つの医学的盲点が存在します。
子猫の「移行抗体による偽陽性」トラップ
生後6ヶ月未満の子猫にFIV抗体検査を実施した場合、母猫がキャリアであれば母乳を通じて受け取った「母子移行抗体」が検出され、陽性と判定されることが多々あります。これはウイルス自体が存在することを示すものではありません。生後6〜8ヶ月を過ぎて移行抗体が消失した後に再検査を行うと、陰性に転じる個体が多数存在します。幼少期の単発検査だけで「生涯キャリア」と決めつけるのは極めて危険です。
過剰な完全隔離がもたらす免疫低下
「キャリア猫だから」と狭いケージに閉じ込め続けたり、日当たりの悪い一室に隔離し続けたりすることは、運動不足と甚大なストレスを招き、結果としてウイルスの活性化を早めてしまいます。喧嘩をしない性格であれば、室内フリーの状態で他の猫と共生させている保護カフェやシェルターは全国に多数存在し、そこでの二次感染発生率は実質ゼロに近い水準に抑えられています。