ドラマ版の成功を牽引したのは、強烈な個性とリアリティを兼ね備えたキャスティングでした。主人公・アユ役には、当時彗星のごとく現れた安斉かれんが抜擢。平成初期のアイコニックなビジュアルとどこか憂いを帯びた佇まいで、若き日の浜崎あゆみを体当たりで演じ切りました。
一方、プロデューサーのマサ役を演じた三浦翔平は、情熱と苦悩を併せ持つ音楽人を熱演。さらに作品のスパイスとなったのが、田中みな実が演じた眼帯姿の秘書・姫野礼香です。アユへの凄まじい嫉妬から繰り出される狂気的な怪演や名セリフの数々は、毎週SNSのトレンドを席巻しました。
CDが数百万枚単位で売れ、深夜のスタジオで巨額のマネーと才能が激突していた1990年代後半の空気感。ドラマ『M 愛すべき人がいて』は、狂騒の時代を駆け抜けたエイベックスの青春群像劇としても高いエンターテインメント性を確立しました。