スマートフォンのマップアプリで「halal shop near me」あるいは「近くのハラル食材店」と打ち込むと、数年前とは比較にならないほど多くの店舗がヒットするようになりました。出入国在留管理庁の統計データが示す通り、日本国内で暮らす東南アジアや南アジア、中東出身の専門人材や留学生の増加に伴い、生活インフラとしてのイスラム食品専門店は全国の住宅街や駅前商店街へと急速に広がっています。
現場を訪れると、客層の変化がはっきりと見て取れます。夕方のピーク時には、ヒジャブを身につけたムスリム女性だけでなく、本格的なスパイス料理を趣味にする日本人や、キロ単位で肉をまとめ買いする一般家庭の姿が珍しくありません。店頭には、バスマティライス、挽きたてのカルダモンやクミン、冷凍のマトン(羊肉)やホールチキンがぎっしりと並び、一般の大手スーパーでは手に入らない食材の宝庫となっています。
取材に応じた東京都内のスパイス愛好家は、「デパートの輸入食品売り場だと数十グラムで数百円するホールスパイスが、ここなら500g入りの大袋が数百円台で買える。一度この鮮度と価格を知ってしまうと、普通の売り場には戻れない」と語ります。単なる宗教的配慮にとどまらず、純粋な「食のワンダーランド」としての魅力が、多くのリピーターを引き寄せています。