現在でこそ世界中で愛されるキラーチューンですが、そのリリース発売日経緯を振り返ると、グループにとって極めて挑戦的なターニングポイントであったことが分かります。本作がシングルとして世に放たれたのは2008年7月9日。当時のいきものがかりは、メジャーデビュー曲『SAKURA』の大ヒット以降、『茜色の約束』や『帰りたくなったよ』など、良質なポップスとバラードを歌うフォークロックユニットとしてのパブリックイメージが定着していました。
当時、楽曲を手がけた水野良樹作詞作曲の背景には、そうした「温かく優しい優等生的なイメージ」を打破し、バンドの持つ底力とエッジを世に示したいという強い衝動がありました。関係者の証言や当時のインタビューによると、水野氏は「ただのアニメソングにとどまらず、歌謡曲が持つ普遍的な哀愁とロックのスピード感を両立させ、生半可なポップスをなぎ倒すような強度を持つ楽曲」を目指してペンを走らせたといいます。
その挑戦を完璧な形で具現化したのが、吉岡聖恵ボーカルの卓越した表現力です。冒頭のアカペラからトップスピードで叩きつけられるハイトーン、一切のブレを感じさせないストレートな声の抜け、そして哀愁を帯びながらも決して湿っぽくならない生命力。このボーカルパフォーマンスが吹き込まれたことで、楽曲は単なるアップテンポなロックナンバーを超えた、唯一無二のドライブ感を獲得しました。のちに名盤と名高い3rdアルバム『My song Your song収録』された際にも、アルバム全体のエネルギーを牽引する重要な核として機能しています。