圧倒的な知名度を誇った鎌倉御殿がなぜ営業を終了し、解体されるに至ったのか。ネット上では様々な憶測が飛び交っていますが、取材と業界構造の分析から浮かび上がる閉店の決定的な要因は大きく3点に集約されます。
第1に、建物の老朽化と建築基準・耐震基準の壁です。昭和期に建てられた巨大な木造・鉄骨混成の特殊建築は、維持修繕費が莫大にかかります。平成後期以降、消防法や建築基準法の改正・厳格化が進む中、大規模改修を行うには新築以上の巨額投資が必要となる計算でした。
第2に、風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)による新規出店・増改築の制限です。特殊浴場は既存の営業権(既得権)を維持しながら営業を続ける必要がありますが、一度建物を全解体して同じ規模の御殿を再建築することは法的に極めて困難な環境となっていました。
第3に、顧客ニーズの劇的な変化とグループ再編です。バブル期のような「派手な箱モノ(外観)」を求める時代から、平成後期以降は「プライバシー保護、完全個室の清潔感、WEBでの事前指名システム」へと客側の価値観がシフトしました。過剰な維持費がかかる巨大御殿を維持するよりも、効率的で洗練された最新設備へ経営資源を集中させる事業承継・統廃合が行われたのが解体の真相です。