SNSや知恵袋などのコミュニティを分析すると、「休日に10時間眠っても疲労が抜けない」「エナジードリンクを1日2本飲んで無理やり動いている」といった切実な声が数千件規模で投稿されています。取材を通じて分かったのは、現代人の多くが「燃料はあるのに点火プラグが壊れている状態」に陥っているという恐るべき構図です。
大手内科クリニックの現役臨床医は、取材に対して次のように現場の実態を明かしています。「慢性的な倦怠感を訴えて来院する患者さんの問診票を見ると、朝は菓子パン、昼はパスタやうどん、夜は揚げ物と缶ビールといった高糖質・高脂質の食事パターンが非常に目立ちます。糖質を代謝する過程でB1が激しく浪費され、アルコールを分解するためにナイアシンとB1が根こそぎ使われる。本人はエネルギーを補給しているつもりでも、生化学的にはビタミンB群のストックを自ら空っぽにしているのです。」
さらに見過ごせない臨床上の盲点が「胃の環境と加齢」です。ビタミンB12は、胃液に含まれる「内因子」という特殊なタンパク質と結合して初めて小腸で吸収されます。胃炎の既往がある人、胃酸分泌を強力に抑えるプロトンポンプ阻害薬(PPI)を長期連用している人、そして加齢によって胃粘膜が萎縮した高齢者は、どれだけレバーや魚介類を食べてもB12を吸収できません。血液検査で明らかな貧血値が出る前に、まず末梢神経障害(足のしびれ・冷え)や抑うつ症状として現れるため、心療内科や整形外科をたらい回しにされる患者が後を絶たないのが現状です。