関東平野の台地部を歩くと目にする赤褐色の土。この地層の正体は、更新世(約数万〜数十万年前)に西方の富士山・箱根・愛鷹山・浅間山・赤城山などの火山から偏西風に乗って降り注いだ火山灰(テフラ)です。これらが長年の歳月をかけて風化し、鉄分が酸化して特有の赤褐色を帯びることで形成されました。
日常会話では「赤土(あかつち)」とひとくくりにされがちですが、地質学的には明確な違いが存在します。西日本などに多く見られる一般的な赤土は、花崗岩などの岩石が温暖湿潤な気候下で長期間風化してできたラテライト性の土壌です。一方、関東ローム層は非晶質の粘土鉱物(アロフェン)を主成分とする火山灰質粘性土であり、保水性が高く、有機物をほとんど含まないという独自の物理特性を備えています。
関東ローム層の年代と層序は、古い順に大きく4つの層に区分されます。
- 多摩ローム層(約40万〜13万年前):最も古い層で風化が進み、強固に締まった粘性土。
- 下末吉(しもすえよし)ローム層(約13万〜8万年前):下末吉段丘を覆う層。
- 武蔵野ローム層(約8万〜5万年前):箱根火山の東京軽石層(TP)などを挟む代表的な堆積層。
- 立川ローム層(約3万〜1万年前):最も表層に位置し、富士山の火山灰を主とする層。
私たちが住宅地などで目にする表層の多くは、このうちの立川ローム層および武蔵野ローム層に該当します。