あいうべ体操は、みらいクリニック院長である内科医・今井一彰医師が考案した口腔周囲筋・舌筋トレーニング法です。もともとは、リウマチや喘息、アトピー性皮膚炎などの慢性疾患患者を診察する中で、多くの患者に「口呼吸」という共通の身体習慣があることに着目したのが開発の契機でした。
口呼吸が慢性化する最大の要因は、舌の筋力低下によって本来あるべき位置から舌が垂れ下がる「低位舌(ていいぜつ)」にあります。本来、安静時の舌先は上顎の前歯の少し後ろ(スポットと呼ばれる位置)に密着していなければなりません。しかし、舌筋が衰えると重力によって舌根が沈み込み、気道を狭めると同時に口が開きやすくなります。
あいうべ体操によって舌を支えるオトガイ舌筋をはじめとする筋肉群を再教育すると、意識しなくても舌が上顎に吸い付くようになります。その結果として得られる鼻呼吸のメリットは極めて多岐にわたります。
鼻腔は単なる空気の通り道ではなく、天然の高機能空気清浄機・加湿器です。ウイルスや微小粒子状物質を最大90%以上ブロックし、適度な湿度と温度を与えて肺へ送り込みます。さらに鼻呼吸は副交感神経を刺激し、自律神経を整える効果も確認されています。あいうべ体操は、薬に頼らず人間の生体バリアを正常化する理にかなったアプローチなのです。