芸能界という過度な緊張を強いられる環境下で、広場恐怖症やパニック発作に苦しみ、それを公表した表現者たちの歩みは、決して平坦なものではありませんでした。自著の手記やドキュメンタリー番組、記者会見などで語られた一次証言からは、外見からは見えない壮絶な葛藤が浮き彫りになっています。
中川家の中川剛氏は、若手時代にパニック障害を発症し、劇場出番の直前や電車移動中に激しい発作に見舞われた経験を詳細に明かしています。各メディアのインタビューにおいて、「各駅停車しか乗れない」「劇場の出番直前に逃げ出したくなる」といった広場恐怖の典型的な症状に苦しんだ当時を回顧。弟である礼二氏の深い理解とサポートを受けながら、無理のないペースで舞台に立ち続けることで、長い年月をかけて寛解へと至りました。
KinKi Kidsの堂本剛氏もまた、十代後半の過密スケジュールとプレッシャーのなかでパニック障害を発症したことを自著などで告白しています。ライブ会場やスタジオなど、観客の視線が集まる逃げ場のない空間で強い発作に襲われながらも、自身の弱さと向き合い、音楽という表現を通じて自己を解放していくプロセスは多くの共感を呼びました。
女優の大場久美子氏は、約10年間に及ぶ闘病生活を赤裸々に語り、現在は心理カウンセラーの資格を取得して啓発活動に尽力しています。「電車やエレベーターに乗れない」「人混みに行くと息が詰まる」といった重度の広場恐怖症状を経験した彼女の手記は、病気のメカニズムを知るうえで貴重な一次資料となっています。
さらに、旧ジャニーズ事務所(現STARTO ENTERTAINMENT)所属タレントをはじめとするアイドル層でも公表が相次ぎました。元King & Princeの岩橋玄樹氏やtimeleszの松島聡氏などが休養を発表した際、事務所側が公式文書で病名を明文化したことは、エンターテインメント業界におけるメンタルヘルスケアの重要性を社会に強く印象づける契機となりました。