全国の流通を支えるメガブランドでありながら、小久保製氷冷蔵は現在も株式未上場(非上場)を貫いています。この経営判断には、氷という特殊な商材を扱うメーカーならではの明確な合理性があります。短期的な四半期利益や株主配当のプレッシャーに左右されず、数十年スパンで必要となる大規模な冷凍倉庫への設備投資や、猛暑・冷夏による単年度の業績変動に耐えうる自己資本の蓄積を最優先しているためです。
現在の経営陣を率いる小久保龍平代表取締役社長のもと、同社は単なる製氷メーカーからの脱皮を図り、コールドチェーン総合物流企業としての機能強化を推進してきました。近年の決算公告や業界推計によると、小久保製氷冷蔵の売上高はグループ全体で堅調な拡大を維持しており、近年の記録的な猛暑やインバウンド回復に伴う飲食店向け需要の急増を追い風に、高い収益性を確保しています。
また、同社の事業ポートフォリオは市販用ロックアイスにとどまりません。大手流通チェーンへの冷凍配送インフラ提供、業務用冷凍倉庫ビジネス、さらにはタイなど東南アジアを中心とした海外市場への製氷技術輸出を展開するなど、収益の複線化を着実に進めています。気候変動による夏場の需要逼迫リスクを回避するため、AIを活用した需要予測システムの導入やサプライチェーンの再編を進めている点も、同社の堅実な経営体質を裏付けています。