人気エリアの自由が丘で浸水が多発する理由は一体なぜなのか。その最大の要因は、華やかな街並みの下に隠された自由が丘すり鉢地形と、かつて地上を流れていた九品仏川(くほんぶつがわ)の存在にあります。
地形図を丹念に読み解くと、自由が丘駅周辺の地形は決して平坦ではありません。北側の八雲・柿の木坂方面、南側の奥沢方面は標高30〜35メートルの高台(目黒台地)が広がっています。これに対し、自由が丘駅や南口商店街が位置する一帯は、標高約20〜22メートル前後の深い「谷底」に位置しています。自由が丘駅そのものが、周囲から見れば底にあたる低地へ滑り落ちるようなすり鉢の底に造られているのです。
さらに決定的なのが、現在おしゃれなベンチや桜並木が整備されている「九品仏川緑道」の正体です。この緑道は、1970年代前半に九品仏川緑道氾濫を防ぐ目的などで暗渠化され、川の上にフタをして緑道および下水道幹線(幹線雨水管)へと転用された「見えない川」そのものです。ひとたび局地的な豪雨が降れば、周囲の高台に降り注いだ雨水が重力に従って一気に谷底の駅前へと流れ込みます。地表の水路が存在しないため、地中の下水道管に雨水が集中し、排水能力の限界を迎えて地上へと吹き出してしまうのが自由が丘浸水理由の根本構造です。