業界に巨大な激震が走ったのは2019年のことだ。運営側は突然、キズナアイの「ボイスモデル(中の人)」を複数人に増員する「分身プロジェクト」を立ち上げた。中国人向けのモデルを含め、計4人の異なる「魂」が同一のアバターを共有して活動を始めたのである。
この施策は、視聴者から激しい拒絶反応を引き起こした。「アバターさえ同じであれば中身は誰でも代用できるのか」という不信感が広がったのだ。登録者数は激減し、炎上状態は数ヶ月にわたって沈殿した。この騒動は、VTuberの本質が単なる3DモデルやキャラクターIPではなく、「特定の人間が紡ぎ出す言葉と人格の揺らぎ」にこそ宿っている事実を証明することとなった。