蓼科高原での滞在において、都市部の感覚のまま訪れた初心者が最もつまずきやすいのが「気候への油断」です。標高が100メートル上昇するごとに気温は約0.6℃低下し、湿度が低い高地では放射冷却による熱放出が急激に進みます。
真夏の7月下旬から8月であっても、夜間から早朝にかけての気温は15℃前後、天候が崩れて雨が降れば12℃近くまで落ち込みます。平地の真夏スタイルであるTシャツ・短パン・薄手のタオルケットといった装備で乗り込んだ結果、寒さで一睡もできなかったというトラブルは毎年後を絶ちません。夏であってもウインドブレーカーや厚手のフリース、下半身を冷やさない長ズボンの持参は最低限の鉄則です。
さらに見落とされがちなのが、秋から春にかけての気候変動と蓼科高原キャンプ場冬季営業の実情です。10月下旬を過ぎると早朝の霜や降雪のリスクが生じ、11月から4月上旬にかけては完全な雪中・極寒仕様の装備が求められます。
近年は薪ストーブやAC電源サイトを利用した冬キャンプを楽しむ層が増加していますが、アクセス路となるビーナスラインや市街地からの山道は日陰を中心に激しく凍結します。「ノーマルタイヤに簡易チェーン」といった軽装備での進入は立ち往生の元凶であり、スタッドレスタイヤの装着はもちろんのこと、氷点下10℃以下に耐えうるシュラフや暖房器具の準備を怠ってはなりません。