日本最高峰の栄誉として名高い国民栄誉賞ですが、政府からの打診を受けながらも自らの意思で辞退したレジェンドが歴代で4人存在します。それぞれが語った言葉には、プロフェッショナルとしての誇りと極めて明確な美学が宿っていました。
1. 福本豊(1983年打診):「立ち小便もできんようになる」
詳細を見る当時、世界新記録となる通算939盗塁を達成した「世界の盗塁王」こと福本豊氏。中曽根康弘内閣からの授与打診に対し、福本氏は「そんな大それたものをもらったら、立ち小便もできんようになる」という独特の関西弁で固辞しました。一見ユーモラスな言葉ですが、その真意は「国民の模範となるような品行方正を求められる賞は、泥臭く勝負に生きるプロ野球選手としての生き方に合わない」「気負わずに普段通りの生活を送りたい」という、実直で飾らない人生観に基づいたものでした。
2. 古関裕而の遺族(1989年打診):「亡くなってからの評価は本人の本意ではない」
「栄冠は君に輝く」や「六甲おろし」、東京五輪の「オリンピック・マーチ」を手がけた大作曲家・古関裕而氏。没直後に海部俊樹内閣から授与が打診されましたが、遺族が辞退を申し入れました。長男の古関正裕氏は「元気に生きて活動している間に評価していただけるなら喜んだだろうが、亡くなった後にいただくのは父の意に沿わない」と説明。没後叙勲のあり方に一石を投じる決断となりました。
3. イチロー(2001年・2004年・2019年の計3回辞退):「人生の幕を下ろしたときに」
イチロー(鈴木一朗)氏は、驚くべきことに過去3回にわたって授与を辞退しています。
- 2001年(MLB新人王&MVP):「まだ現役で発展途上の選手であり、国家から表彰されると自分への甘えが生じる」として辞退。
- 2004年(メジャーシーズン最多262安打樹立):「現役を続けている間はプレーに集中したい」として再度辞退。
- 2019年(現役引退時):政府からの再三の打診に対し、「人生の幕を下ろしたときにいただけるよう、これからの人生も励んでまいります」と代理人を通じて回答。
引退後であっても「野球人としての人生は終わっても、人としての歩みはまだ道半ばである」とするイチロー氏のストイックな哲学が表れた象徴的なエピソードです。
4. 大谷翔平(2026年打診):「まだ早すぎる」という飽くなき向上心
2026年にメジャーリーグで満票MVPを獲得し、投打二刀流で世界に衝撃を与えた大谷翔平選手。岸田文雄内閣からの授与打診に対し、「まだ道半ばであり、今後の目標に向けて精進したい。今回は時期尚早であるため辞退したい」と申し出ました。自身のキャリアが発展途上であると捉え、賞の栄誉に安住せずさらなる高みを目指す姿勢は、世界中のファンから称賛を集めました。