世界屈指の水揚げ量を誇る気仙沼港周辺や、気仙沼大島を含む風光明媚な沿岸海域では、陸上の天気図からは読み取れない独自の海洋気象が展開しています。特にプレジャーボートの運航、沿岸漁業、磯釣り、遊覧船の利用においては、気仙沼港の波の高さと風速の数値把握が直ちに生命の安全に関わります。
外洋(太平洋)に面した大島東海岸と、湾奥深く切れ込んだ気仙沼本港内とでは、同一市内でありながら波高が2〜3倍異なる事象が日常茶飯事です。湾奥はリアス地形の岬によって外洋のうねりが遮蔽されるため比較的穏やかに見えますが、狭まった水路によって潮流が急激に速まり、風向きによっては海面が三角波状に泡立つ危険性があります。
海洋レジャーや沿岸作業において事故を防ぐ決め手となるのが、気仙沼港潮汐表タイドグラフとの照合です。気仙沼港は大潮時の干満差が1.5メートル以上に達し、潮が動く「上げ三分・下げ七分」の時間帯には湾内の潮流が一変します。干潮から満潮へ向かう上げ潮の時間帯に南寄りの強風が重なると、波が外洋から湾内へ押し込められ、港湾施設周辺でも予想外の打ち上げ波が発生します。数値の背景にある力学を捉えることが不可欠です。