医療統計の乾いた数値の背後には、一人ひとりの生活と葛藤が存在します。ウェブ上に数多く公開されている骨髄異形成症候群ブログ闘病記や闘病コミュニティを分析すると、告知から治療期に至る特有の心理的プロセスが浮かび上がってきます。
ブログの執筆者たちが異口同音に語るのは、「見えない敵と対峙する息苦しさ」です。固形がんのように手術で腫瘍を摘出できないため、「骨髄の中で何が起きているのか実感できない」「数値が少し上下するだけで一喜一憂し、精神的に擦り減る」という吐露が繰り返されます。特に週に1回、あるいは隔週の輸血通院が日常化するにつれ、病院と自宅の往復に生活が縛られ、患者本人の尊厳が脅かされる実態が記録されています。
また、病態が末期に近づいた段階での不安も切実です。骨髄異形成症候群末期症状としては、高度な血小板減少による脳出血や消化管出血、好中球の枯渇に伴う易感染性(日和見感染や敗血症)、重篤な貧血による心不全症状などが現れます。手記の中では、次のような家族の生々しい告白が見受けられます。
「熱発するたびに救急外来へ駆け込み、抗生剤の点滴を受ける日々が続いた。いつ白血病化するのかという怯えと、度重なる輸血で痩せ細っていく父の姿を見るのが何より辛かった」
現場の取材でも確認されるように、患者が最も苦しむのは身体症状そのものに加え、「家族に迷惑をかけている」という罪悪感です。この心理的重圧を和らげるためには、早期から緩和ケアチームを介入させ、身体的苦痛だけでなく精神的なサポート体制を構築することが決定的に重要となります。