ウスターソースの正体を正しく把握するには、まず日本農林規格(JAS)における明確な基準を知る必要があります。日本の規格上、トマトやりんごなどの野菜・果実に食酢、糖類、食塩、香辛料を加えて加工した調味料は総称して「ウスターソース類」と呼ばれます。その中で、「粘度(とろみ)」の度合いによって明確に3つのカテゴリーへと分類されています。
最もサラサラしているものが「ウスターソース」(粘度0.2Pa・s未満)、適度なとろみを持つ中庸なものが「中濃ソース」(粘度0.2Pa・s以上2.0Pa・s未満)、そして濃厚でとろみの強いものが「とんかつソース(濃厚ソース)」(粘度2.0Pa・s以上)です。原材料のベースは基本的に共通していますが、果実・野菜のパルプ分(繊維質)の含有量と糖分、スパイスの配合比率が異なるため、口に含んだ際のアタック感と後味に劇的な違いが生まれます。
よくある初歩的な混同として「オイスターソース(牡蠣油)」との取り違えが挙げられます。オイスターソースは牡蠣の煮汁を濃縮した中華発祥の動物性旨味調味料であり、野菜・果実とスパイスを発酵・熟成させたウスターソースとは原材料も用途も根本から異なります。炒め物の風味付けなどで安易に同量置き換えると、料理全体の設計が完全に崩れてしまうため注意が必要です。