近年、全国の公立小学校を中心に「卒業式における和装(袴)の自粛・原則禁止」を通達する自治体や学校が増加しています。伝統的な正装であるはずの和服が、なぜ教育現場で敬遠される事態に至ったのでしょうか。学校関係者への取材や教育委員会のガイドラインからは、現場が抱える深刻な実態が浮かび上がります。
小学校卒業式の男の子袴禁止の理由として、第一に挙げられるのが「身体的な安全面と着崩れトラブル」です。慣れない袴の裾を踏んで階段で転倒したり、壇上で証書を受け取る際に帯が緩んで袴が脱げそうになったりするアクシデントが多発しました。また、式典前の緊張から急な便意を催した際、小学生男児が自分一人で袴を脱ぎ着して用を足すことは極めて困難であり、教員が着付け直しに追われて開式が遅延する事態も報告されています。
第二の理由は「家庭間の経済的格差と過度な競争意識」です。袴のレンタルや専門業者による早朝の着付け代は数万円単位にのぼり、「周囲が着るからうちも無理をして合わせざるを得ない」という保護者の心理的・金銭的負担が増大しました。華美な刺繍や派手な羽織を競い合う風潮が一部で見られたことも、協調性を重視する学校側が規制に踏み切る決定打となりました。
小学校卒業式男児袴のネットの反応と評判を分析すると、SNS上では「一生に一度の晴れ姿なのだから自由に着せるべき」「日本の伝統文化を学校が禁止するのはおかしい」という擁護論がある一方で、「トイレに行けず本人が青ざめていた」「親のSNS映えのために子どもが無理を強いられているように見えた」といった否定的な声も根強く、世論は二分されています。