「10万円の車はまともに走るのか」という根本的な疑問に対する現場の答えは、「走ること自体は可能だが、いつ致命的なトラブルが起きてもおかしくない状態の車が大半を占める」という極めてシビアなものです。一般社団法人自動車公正取引協議会やオートオークション関係者への取材によると、市場で10万円前後の値が付けられる車両には、例外なく次の3つの構造的要因が絡み合っています。
第1の要因は、初度登録から13年以上が経過したことによる税金負担の増加です。日本の自動車税制では、新規登録から13年(ディーゼル車は11年)を超えると自動車税・軽自動車税が約15〜20%、自動車重量税が約39〜40%重課されます。前オーナーが車検のタイミングで「これ以上維持費を払うなら手放そう」と判断し、下取り査定で値段がつかなかった車両が格安ルートへと流れます。
第2の要因は、走行距離が10万〜15万kmを超えた過走行車である点です。現代の日本車はエンジン自体の耐久性が飛躍的に向上しており、20万kmを超える走行も珍しくありません。しかし、中古車市場における再販価値(リセールバリュー)は10万kmの節目で急落します。実用上の走行性能が残っていても、相場原理によって価格が10万円前後まで押し下げられるのが10万円の車が安い理由の本質です。
第3に、中古車販売店における「在庫回転のタイムリミット」が挙げられます。中古車販売店がオートオークション等で仕入れた車両を長期間ヤードに放置すると、展示スペースの占有コストやバッテリー上がりなどの劣化が進みます。粗利益をほぼゼロ、あるいは赤字覚悟の「処分価格」として10万円で売り切り、現金化を急ぐケースが少なくありません。