ネット上の簡易レシピや掲示板では「ベトナム料理のbột năngは日本の片栗粉で100%代用できる」という情報が散見されますが、これは一部の加熱調理に限定された誤解です。
最大の落とし穴は、ベトナム伝統菓子の「チェー(Chè)」や、透明な生地でエビや豚肉を包む「バインボットロック(Bánh bột lọc)」のような料理に片栗粉を使用してしまうケースです。タピオカ澱粉特有のグルテンに匹敵するゴム状の粘弾性は、馬鈴薯澱粉では絶対に再現できません。
片栗粉で生地を作って熱湯で茹でると、加熱中は一時的に固まるものの、分子の結合が脆いため生地が破れやすく、冷めると急激に水分が抜けてボソボソとした粉っぽい食感に変質してしまいます。「とろみ付け(Thicken)」と「生地の成形・弾力形成(Texture)」を混同して代用すると、料理の根本的な仕上がりが台無しになるため注意が必要です。