原爆ドームは建設から110年以上が経過し、被爆による激しい損傷や雨風による経年劣化が避けられない構造体です。崩壊を防ぎながら「被爆直後の姿」をそのまま留めるため、現在に至るまで精密な耐震補強工事と現在の保全技術が惜しみなく注ぎ込まれています。
これまでに行われた複数回の保存補強工事では、外観の景観を一切損なわないよう、壁の内側にエポキシ樹脂を注入してレンガ同士を固着させる特殊工法や、隠れた鉄骨による補強が施されてきました。近年では地震動に対する安全性を再評価し、大地震が発生しても倒壊しない耐震性能の確保が進められています。
さらに近年では、レーザースキャンによるミリ単位の3Dデジタルツインデータの作成や、AIを活用した亀裂の自動モニタリングなど、最先端の文化財保存科学が導入され、未来の世代へ確実に記憶を引き継ぐ取り組みが続けられています。