ネット空間での「特定班」と呼ばれるユーザーたちの暴走は、最悪の形で結実した。まったく無関係である東京の事業経営者の女性が犯人の同乗者であるという偽情報が、根拠もないままSNS上に流布したのだ。まとめサイトや一部の個人アカウントがインプレッション稼ぎのために煽り、Yahoo!ニュースのコメント欄やSNSのトレンドはまたたく間にネット中傷で埋め尽くされた。
苛烈を極めた攻撃は、女性の事業所に無数の嫌がらせ電話を殺到させ、業務停止へと追い込んだ。女性はSNS上で自ら関係性を否定し、警察へ相談したものの、一度火がついたデマの拡散スピードには到底追いつかなかった。「正義を正しく行使している」と信じ込んだ一般人たちが、自らの手で冤罪という刃を他人へ突き立てていたのである。