美容室の現場で最も多く寄せられる相談が、「ブリーチをせずにどこまでワインレッドの鮮やかさを出せるか」という問いです。カラー履歴のない健康な黒髪(4〜5トーン)に直接染料を塗布した場合、室内では一見黒髪に見えつつ、強い光が当たった瞬間にほんのりと深紅が透ける極めて控えめな仕上がりになります。
一方、過去のカラー履歴などで地毛が8〜9トーン程度までリフトアップしている髪であれば、ブリーチなしでも十分にワインレッド特有のこっくりとした深みと艶感を表現可能です。日本人の黒髪にはもともとユウメラニン(赤〜黒の褐色色素)が豊富に含まれているため、アッシュ系やオリーブ系などの寒色に比べて赤系色素は内部に定着しやすい特性を持っています。
「ブリーチ履歴がなくても、アルカリカラーの限界である12トーン付近までベースを明るくしてから色味を被せる『ダブルプロセス(ブリーチなしダブルカラー)』を用いれば、ダメージを最小限に抑えつつ、鮮明なワインレッドの質感を十分に引き出せます」と、表参道のサロンでカラー統括を務めるトップスタイリストは現場の技術的進化を明かします。