本作の魅力を語る上で外せないのが、主演・高橋一生が構築した「岸辺露伴像」の説得力です。立ち振る舞いや指先の動き、鋭利な視線に至るまで露伴そのものでありながら、実写としての生々しさと気品を共存させています。また、バディを務める泉京香役の飯豊まりえの軽妙な掛け合いは、重厚なホラーサスペンスにおける絶妙な清涼剤として機能しました。
映画オリジナル要素としても機能した青年期の露伴役・なにわ男子の長尾謙杜は、青く未熟で脆い若き日の姿を繊細に好演。物語の鍵を握る奈々瀬役の木村文乃は、妖艶さと悲哀を漂わせる佇まいで観客を圧倒しました。
撮影現場の取材記録によると、ルーヴル美術館での撮影は完全夜間に行われ、モナ・リザが展示される「国家の間」や「サモトラケのニケ」の前を貸し切るという日本映画として極めて異例の規模で実施されました。極寒のパリと歴史の重厚さがキャスト陣の集中力を極限まで研ぎ澄ませたことが、画面全体の緊張感に結実しています。