止血帯としての歴史を遡ると、19世紀の軍陣医学に行き当たる。近代的な駆血器具の基礎を築いたのは、ドイツの軍医フリードリヒ・フォン・エスマルヒだ。戦場で兵士の命を繋ぐために彼が考案したエスマルヒ包帯や止血用ゴムチューブは、大量出血を防ぐ画期的な発明だった。
現代の救急医学の現場において、重度四肢外傷の止血に用いられる器具は英語でターニケット(Tourniquet)と呼ばれる。一方、日本の臨床現場では採血や静脈路確保の目的で用いられる帯を「駆血帯」と呼び分ける慣習が定着した。戦場での救命具から始まった器具は、長い歳月をかけて繊細な医療行為を支える道具へと姿を変えたのだ。