松本伝統「がったぼうず」の真相|ボロボロの着物で軒下に吊るす厄除けの秘密

松本伝統「がったぼうず」の真相|ボロボロの着物で軒下に吊るす厄除けの秘密

松本伝統「がったぼうず」の真相|ボロボロの着物で軒下に吊るす厄除けの秘密に関する最新の話題を分かりやすく解説いたします。

がったぼうずを初めて目にする人が最も強い違和感を覚えるのが、「なぜあえて着古したボロボロの服を着せるのか」という点です。綺麗な着物を纏う七夕雛の隣で、ツギハギだらけの着物や子どもが着古した肌着を着せられる背景には、日本の伝統的な形代(かたしろ)・撫物(なでもの)信仰が深く関わっています。

かつて乳幼児の死亡率が高かった時代、病魔や邪気は「美しく着飾った健康な子ども」を好んで狙うと信じられていました。そこで親たちは、我が子の命を守るために二つの防衛策を講じました。一つは、子どもが実際に着用して垢や汗が染み込んだ衣服を人形に着せることで、子どもの身体に溜まった「厄」や「穢れ」を人形に転写することです。もう一つは、人形をわざとみすぼらしい姿に仕立てることで、悪霊の目を欺き、災厄をすべてがったぼうずに肩代わりさせる「身代わり(厄落とし)」の儀礼でした。

また、七夕人形をなぜ軒下に吊るすのかという疑問に対しても、明確な民俗学的・生活技術的理由が存在します。

第一に、家の外部と内部を分ける「境界(結界)」である軒先に吊るすことで、外から侵入しようとする疫病神を門前で食い止める魔除けの意味がありました。第二に、信州の初秋における実利的な知恵として、大切な着物を夏の強い日差しと通風に晒す「土用干し(虫干し)」を兼ねていた点が見逃せません。信仰上の厄払いと、衣類をカビや害虫から守る衛生管理の知恵が見事に融合した風習といえます。

山田 真由
著者

山田 真由

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