田茂青志が説く勝負論は、高校野球の枠組みを軽々と飛び越え、現代を生きる私たちのビジネスや人生哲学にも通底している。「練習しても上手くならないなら、下手なままで勝つ方法を考えろ」「弱点を克服する暇があるなら、長所を極限まで尖らせろ」。
世間が強いる「平均的な正しさ」や「無意味な自己犠牲」を小気味よく解体していく青志イズム。へっぽこ球児たちが自らの欠点を受け入れ、開き直り、確率論と異常な集中力で格上に挑む姿は、見る者に痛快なカタルシスをもたらす。コンプレックスを無理に消し去る必要はないという肯定感こそが、本作が色褪せない最大の理由だ。