こうした破天荒な素顔を他人に暴かれたのではなく、自らノリノリで書き残したのが自伝『福翁自伝』である。ここに記された少年時代の悪戯は、現代なら間違いなく怒られるレベルのものばかりだ。
例えば、神社のご神体を勝手に別の石と入れ替えて「神様がバチを当てるか」を実験した話や、踏むと祟りがあると恐れられていたお札をわざと踏みつけてみせた話など、合理主義が極まりすぎて奇行に走る子供だった。バチが当たらないと知るや「神様なんて大したことない」と笑っていたというから、その胆力とひねくれ具合には感服するしかない。