夏休みの終盤、SNSやネット掲示板を覗くと「交通安全ポスターの宿題が終わらない」「絵の具の飛び散りで親子ゲンカになった」という悲鳴が溢れかえります。親子の精神的疲弊の要因はどこにあるのでしょうか。
実態を調査すると、親側の焦りの正体は「我が子に良い賞を取らせてあげたい」という愛情と、「見栄えの悪い作品を提出させたくない」という世間体の葛藤にあります。知恵袋などでも「親がどこまで手を出していいのか」という相談が後を絶ちません。
しかし、公募展で長年審査に携わってきた元図工専科教員や関係者の証言は、保護者の思惑とは真っ向から対立します。
「作品を一目見れば、どこまで子どもが描き、どこから大人の手が入ったかは瞬時に分かります。大人が描いた線は迷いがなく整いすぎており、筆圧が均一です。逆に、子どもが一生懸命引いた線は、多少歪んでいても生命感と独特の勢いがあります。親御さんが綺麗に仕上げた作品は、完成度が高く見えても『児童の純粋な表現』とみなされず、最終審査で真っ先に弾かれます」(コンクール審査関係者の証言)
現場の審査員が求めているのは、美術予備校で教わるような洗練された技術ではありません。「道路の向こう側にいるお母さんに気付いてほしくて力いっぱい手をあげた」「ヘルメットをかぶったとき、少し息苦しかったけれど守られている安心感があった」という、子どもの身体を通した直接経験の表現なのです。