アスベストの吸入による健康被害は、潜伏期間が数十年に及ぶことで知られる。中皮腫や肺がんといった重篤な疾患を引き起こす危険性があるため、利用客の関心は「いま地下鉄に乗っていて安全なのか」という一点に集中している。
環境衛生の専門家は、「非飛散性の状態に保たれている限り、乗客が直ちに健康被害を受ける可能性は極めて低い」と冷静な対応を促す。だが、その一方で「駅職員や夜間工事に携わる作業員など、長期間その空間に滞在する人々への曝露リスク管理は一刻の猶予もない」と念を押す。問題は過度な恐慌ではなく、正確な情報公開と物理的な封じ込めの徹底だ。