日本で唯一、この地だけに継承されてきた能登揚げ浜式製塩の塩田も、震災によって地盤が割れ、大きな被害を受けた。海水を汲み上げる護岸の破壊や塩釜の損傷は、職人たちの心を一度は激しく打ち砕いた。江戸時代から続く伝統の塩造りが途絶えてしまうのではないかという危惧が地域を包んだ。
しかし、塩造りの伝統を守り抜く職人たちの意志は折れなかった。ボランティアの協力や全国からの寄付金を支えに、手作業で粘土を敷き直し、塩田の修復工事が本格化。再び海水が撒かれ、製塩窯から煙が立ち上った瞬間、現地には復興への第一歩を祝う歓喜の声援が響いた。伝統産業の再始動は、地域の誇りを再び呼び覚ます大きな光となっている。