旅の合間に漂う甘い誘惑も見逃せない。新潟県観光協会が推進する食の魅力発信でも常に主役を張るのが、濃緑の笹に包まれた笹団子だ。殺菌効果のある生笹を解くと、深みのあるヨモギの香りが立ち込める。弾力に満ちた餅の中には、上品な甘さの粒あんやこしあんがぎっしり詰まっている。もともとは戦国武将・上杉謙信の軍糧にルーツを持つとも伝えられる保存食だが、現代では職人たちが毎朝手作業で巻き上げる工芸品のような和菓子へと昇華した。蒸したての温かい団子は柔らかく、少し冷めると生地のコシが際立つ。この素朴ながら完成された甘味は、世代を超えて愛され続ける不動の定番だ。
だが、甘味だけで終わらないのが新潟の奥深さだ。日本海沿岸の市場に足を運べば、ルビーのように輝く南蛮エビ(甘エビ)や、脂の乗った高級魚のどぐろが所狭しと並ぶ。朝獲れの鮮魚を豪快に盛り付けた海鮮丼から、丁寧に焼き上げられた塩焼きまで、素材の鮮度だけで圧倒される体験がそこにある。定番を押さえつつ、旬の魚介へと手を伸ばす贅沢こそが新潟の醍醐味だ。