なぜエアコンを28度に設定しても涼しくならないのか。その答えは、環境省が提唱してきた指針の表記と、私たちの認識との間に生じた大きなギャップにある。
多くの人が「エアコンのリモコン設定を28度にする」ことだと勘違いしているが、本来の指針が示しているのは「実際の室温を28度以下に保つ」という点だ。エアコン機器が測定する温度は、天井付近に滞留する温かい空気の影響を受けやすく、居住スペースである床上1メートル付近の温度や湿度とは必ずしも一致しない。さらに、室内の相対湿度が60%を超えている場合、たとえ気温が28度であっても体感温度は30度近くまで跳ね上がる。この「設定温度と実効室温の乖離」こそが、冷房をつけているにもかかわらず暑さを感じる最大の罠なのだ。