広大な美瑛の丘に一本だけ聳え立つこの巨木が全国区の知名度を獲得した契機は、1972(昭和47)年9月から放映された日産自動車の4代目スカイライン(C110型)のテレビCMシリーズです。当時の広告界に金字塔を打ち立てたこのキャンペーンは、若いカップル「ケンとメリー」が車とともに日本各地の美しい自然を巡るロードムービー仕立てで展開されました。その第15作ロケーション撮影の舞台として選ばれたのが、まさに美瑛町北瑛の丘に立つポプラの木でした。
CMソングとなったBUZZの楽曲『ケンとメリー〜愛と風のように〜』はオリコンチャート上位を記録し、30万枚を超える大ヒットを達成。車そのものも「ケンメリ」の愛称で親しまれ、歴代スカイラインの中で最高となる累計販売台数約67万台を記録する社会現象となりました。この映像に映し出されたノスタルジックな風景は日本人の旅情を強烈に刺激し、かつて無名の農村であった美瑛町を全国屈指の観光地へと押し上げる原動力となったのです。
樹齢は推定で90年を超えており、高さは20メートル以上にも達します。行政の公式記録や当時のロケーション資料によると、このポプラはもともと農地境界の目印や風雪を防ぐ目的で植えられた私有樹木であり、広告制作陣の慧眼によって風景アイコンとしての価値が見出されたという経緯があります。