愛犬に熱中症の疑いが生じた場合、受診までの「最初の15分」の初動が生死を分けます。現場の獣医師が口を揃えて強調するのは、病院へ向かう車中や受診前に行う犬の熱中症の応急処置の質です。
最優先すべきは、速やかに風通しの良い涼しい場所や冷房の効いた室内に移動させ、体を物理的に冷やすことです。ただし、ここで氷水を全身に浴びせたり、アイスパックを長時間直接体に当て続けたりする行為は厳禁です。毛細血管が急激に収縮して熱の放散を妨げるばかりか、急激な血圧変動を引き起こす危険性があります。
正しい冷却手順は以下の通りです。
- 常温〜ぬるま湯(20〜25度程度)の水を全身にかけるか、濡れタオルで体を包む
- うちわや扇風機の風を当てて、気化熱を利用して効率的に熱を奪う
- 太い血管が通っている「首の付け根」「脇の下」「内股の付け根」を保冷剤(タオルで巻いたもの)で局所的に冷やす
また、意識が朦朧としている状態での水分補給方法には細心の注意が必要です。無理にシリンジや器で水を飲ませようとすると、水が気管に入り誤嚥性肺炎や窒息を誘発します。意識がはっきりしている場合にのみ、冷たすぎない水や犬用経口補水液を自発的に飲ませる程度にとどめてください。