長年、奈良観光の課題とされてきたのが「日帰り客の多さ」だった。京都や大阪から近いため、夜には観光客が抜けてしまう。しかし今、その流れが変わりつつある。明日香村や宇陀の古民家を改装したオーベルジュ(宿泊型レストラン)が次々とオープンし、夜の静寂の中でゆっくりと食事を楽しむスタイルが定着してきた。
薪火でじっくりと焼かれた肉の香ばしい匂い、夜風が運ぶ草木の香り。五感すべてを研ぎ澄まして食事と向き合う時間は、都会の喧騒では決して得られない贅沢だ。翌朝、朝霧に包まれた畑を散歩しながら、前夜に食べた野菜の収穫風景を眺める。そんな体験がセットになった旅が人気を集めている。