「雀のお宿」の舞台には諸説ありますが、最も有力な発祥の地として知られるのが群馬県安中市の「磯部温泉」です。日本屈指の歴史を誇る名湯であり、温泉記号(♨)の発祥地としても名高いこの地には、古くから舌切雀伝説が息づいています。
歴史的な由来として大きな役割を果たしたのが、江戸時代末期から明治期にかけて活躍した落語の大看板・初代三遊亭圓朝です。圓朝は磯部温泉の豊かな自然と湯治場の風情をこよなく愛し、滞在中に地元の言い伝えをもとに「舌切雀」の物語を講談や落語として洗練させ、世に広めたと伝えられています。
温泉街の傍らを流れる碓氷川のせせらぎや、四季折々に表情を変える竹林は、まさに雀たちがひっそりと宴を開いていた隠れ里の雰囲気を今に留めています。