鼻の下にできた赤い腫れ物が「単なるニキビ」ではないケースが存在します。静岡県浜松市の「ハートライフクリニック」など複数の美容皮膚科・形成外科が警鐘を鳴らしているのが、毛嚢炎(もうのうえん)が悪化して生じる「面疔(めんちょう)」や「粉瘤(アテローム)」との混同です。
医学的に「危険三角(デンジャラス・トライアングル)」と呼ばれる鼻根部から左右の口角を結ぶ三角形のエリアは、静脈系が頭蓋内の海綿静脈洞へと直結しています。もし原因菌が通常のアクネ菌ではなく毒性の強い黄色ブドウ球菌であった場合、細菌感染が深部へ波及すると、極めて稀ではあるものの海綿静脈洞血栓症や髄膜炎といった重篤な合併症を引き起こすリスクが医学界で指摘されています。
自身のできものが一般的な赤ニキビなのか、それとも即座に医療機関へ駆け込むべき面疔なのかを判断するための基準を以下に示します。
- 痛みの質:ニキビは触れると痛む程度ですが、面疔は触れなくてもドクドクと脈打つような自発痛を放ち、熱感を帯びます。
- 腫れの範囲と硬さ:ニキビの隆起が毛穴周囲数ミリに留まるのに対し、面疔は皮膚の深部からしこりのように大きく硬く腫れ上がり、周囲の皮膚まで赤く変色します。
- 全身症状の有無:患部の痛みだけでなく、微熱、頭痛、だるさ、あるいは首のリンパ節の腫れを伴う場合は、通常のニキビの範疇を完全に超えています。
また、患部の中心に黄色い膿(うみ)が透けて見える状態(黄ニキビ)になっている場合、内部では白血球が細菌と戦い抜いた残骸が溜まっています。この黄色い膿を見て「毒素を出し切らなければ」と爪や針で突く行為は言語道断です。自己判断での圧出は膿を皮膚の深層(真皮網状層)へ押し広げ、組織破壊を決定的にします。膿が表面に上がってきた段階では、後述する殺菌・抗炎症作用を持つ外用薬を綿棒で静かに塗布し、患部を絶対に動かさず自壊(自然に排膿すること)を待つのが皮膚科学の鉄則です。