1970年代後半から始まった「初代マルコメ君」を探す公募オーディション。その熱狂は凄まじかった。全国から寄せられた応募総数は毎年のように数万件に達し、選考会場は我が子を国民的キャラクターに育てたい親たちの熱気に包まれていた。
審査基準は単に可愛いだけではない。「丸刈りが似合うこと」「美味しそうに味噌汁を飲むこと」、そして何より「どこか懐かしく温かい愛嬌があること」だった。株式会社電通のクリエイティブチームとマルコメの担当者が夜を徹して議論を重ね、全国から選ばれた少年たちは一躍、時の人となった。テレビCMの撮影現場では、慣れないカメラの前で緊張する子供たちを和ませるため、スタッフが必死でおもちゃを振る光景が日常茶飯事だったという。
その後、時代を経て開催された「新・マルコメ君オーディション」では、選考基準に多様性や表現力が加わりつつも、あの温もりある笑顔の本質は変わらず受け継がれていった。