インターネット上の美容記事や掲示板で長年語り継がれてきた伝説に「美女の基準=B90・W60・H90」という説があります。しかし、取材検証を進めると、この言説には大きな時代遅れの誤解とバイアスが含まれていることが判明しました。これこそがスリーサイズ黄金比の真相において最も看過できないポイントです。
第一に、「B90・W60・H90」という数値は、1950年代から昭和期にかけて欧米のグラマラスな映画スターの公称サイズとして広まったプロパガンダ的な記号に過ぎません。身長160cm前後の一般的な骨格を持つアジア人女性がウエスト60cmを維持しながらバストとヒップを90cmまで発達させることは、先天的な骨盤形状や高度な遺伝的資質がない限り、極めて不自然なバランスです。
第二に、ファッションショーのランウェイを歩くハイファッションモデルと、一般に支持される黄金比は目指す方向性が全く異なります。パリやミラノのコレクションで求められるモデル体型のスリーサイズ基準は、服のドレープやカッティングを平面的かつストレートに見せるための「服のためのハンガー」としての身体です。そのため、バストやヒップのボリュームは極力削ぎ落とされ、ヒップサイズは86cm以下、胸の凹凸も控えめなラインが主流となります。
一方で、私たちが日常生活や日常のファッションで「スタイルが良い」と憧れるのは、適度な皮下脂肪と筋肉が共存するヘルス&ウェルネスの体型です。ネット上に散見される極端なモデルのスペックをそのまま一般女性の目標に設定してしまうこと自体が、深刻なボディイメージの歪みを生み出す元凶となっています。