結論から整理すると、香港は独立した「国」ではなく、中華人民共和国(中国)の主権下にある「特別行政区」です。正式名称を「中華人民共和国香港特別行政区(Hong Kong Special Administrative Region of the People's Republic of China:略称HKSAR)」と呼びます。
国際連合(UN)に加盟する独立主権国家の要件は、一般的に「明確な領土」「永続的住民」「実効的な統治機構(政府)」、そして他国と外交関係を結ぶ「外交能力」とされます。香港は独自の行政府、立法機関、裁判所を有していますが、外交および国防の最高権限は中国中央政府(北京)に帰属しています。したがって、日本外務省の公式文書や国際法上の定義においても、香港は主権国家ではなく「地域」として扱われています。
一方で、国際機関や国際イベントにおいて香港が単独で参加している場面をよく見かけます。代表的な例が、オリンピックやサッカーW杯、世界貿易機関(WTO)、アジア太平洋経済協力会議(APEC)です。これらは香港基本法第151条の規定に基づき、「中国香港(Hong Kong, China)」という名義で、経済・貿易・スポーツ・文化などの非政治分野に限り、独自の代表権を認められているためです。国連のような主権国家のみで構成される機関には加盟できないものの、経済協定やスポーツ組織では準国家的なプレゼンスを認められてきた経緯が、「香港は国なのか」という混同を生む大きな要因となっています。