料理愛好家やネット上で常に議論が白熱するのが、「水から茹でるのか、それとも沸騰したお湯から茹でるのか」という論争だ。クラシル等の料理メディアやNorth Dishなど農家直伝のデータ、さらに調理学の実証実験を照合すると、両者の間には科学的な食感と味覚の明確な違いが存在する。
とうもろこし水からお湯から仕上がりの違いの核心は、デンプンを糖に変える酵素「アミラーゼ」の活性温度帯にある。アミラーゼは40℃〜60℃の温度帯で最も活発に働き、とうもろこし内部のデンプンを麦芽糖へと分解する。したがって、とうもろこしの甘みを引き出す茹で方を最優先にするなら、「水から」時間をかけて徐々に加熱し、この温度帯をゆっくり通過させる手法が最も理にかなっている。
一方で、シャキッとした粒立ちと歯ごたえを重視する場合は、沸騰したお湯から短時間で茹で上げる手法が適している。高温で一気にデンプンをα化(糊化)させることで、粒のプリッとした張りを際立たせることができるからだ。
また、味の輪郭を決定づける皮付きとうもろこし塩の割合は、湯の量に対して2.0%〜2.5%(水1リットルに対して塩20g〜25g)がベストとされる。吸水とともに適度な塩分が薄皮を透過して粒に行き渡り、対比効果によって甘みが劇的に引き立つ。塩を入れるタイミングは、水から茹でる場合は最初から、沸騰後に入れる場合は投入直前が適している。