香典袋に文字を書く際、多くの人が悩むのが「ペンの種類」です。古来の作法では、通夜・告別式ともに「突然の悲報に涙で墨が薄れてしまった」「急ぎ駆けつけたため十分に墨を磨る時間がなかった」という哀悼の情を表すため、表書きには「薄墨(うすずみ)」の筆ペンを用いるのが絶対的なマナーとされてきました。
一方、中袋なし封筒の裏面に記入する住所・氏名・金額に関しては、実務面を考慮した筆記具の使い分けが定着しています。
葬儀の現場では、受付後に遺族や葬儀社スタッフが香典帳を作成し、後日の香典返しや挨拶状の手配を行います。この際、薄墨で細かく書かれた住所や数字がかすれて読めないと、遺族側に大きな事務的負担をかけることになります。そのため、表書き(「御霊前」や参列者氏名)は薄墨筆ペンで格調高く仕上げ、裏面の住所・電話番号・金額は濃い黒のボールペンやサインペンで判読しやすく書くという使い分けが、現代の実務マナーとして広く支持されています。
また、封筒の閉じ口に関する疑問として「糊付け(のりづけ)は必要か」という点が挙げられます。中袋なしの香典袋であっても、受付係がその場で開封して現金を照合・管理することが多いため、原則として糊付けは不要です。付属の「〆」シールが同封されている場合や、あらかじめ両面テープが付いている製品もありますが、無理に密閉する必要はなく、折り目をしっかりと折って袱紗(ふくさ)に包めば十分です。