展示室のメインフロアを進むと、豊臣秀吉が作らせた「天正長大判」をはじめ、徳川幕府の権力を象徴する駿河笹小判、そして明治以降の美しい金貨群が目に飛び込んでくる。一枚一枚に刻まれた細やかな模様は、当時の権力構造や経済情勢を雄弁に物語る。
明治期における新貨条例の発令と円の導入において、新紙幣や貨幣制度の設計を主導した渋沢栄一の足跡も見逃せない。国家の命運を賭けた貨幣鋳造事業を成功させるため、当時の技術者たちがどれほどの試行錯誤を重ねたのか。造幣局公式アーカイブに保管されている当時の設計図面や試作コインの記録を紐解くと、金銀の含有量を一厘単位で調整した職人たちの狂気的なまでの精度へのこだわりが見えてくる。