重慶の夜を語る上で、嘉陵江の断崖に張り付く巨大複合建築「洪崖洞(ホンヤードン)」を外すことはできない。かつて明・清の時代に築かれた吊脚楼(伝統的な高床式建築)のスタイルを模した11階建ての木造風建築群だ。日中は歴史を感じさせる渋い佇まいを見せているが、19時30分、一斉にライトアップが点灯した瞬間に世界が一変する。
温かみのある黄金色の光が複雑に入り組んだ木組みの柱や屋根を照らし出し、まるで『千と千尋の神隠し』の油屋がそのまま現代に出現したかのような錯覚を覚える。2026年の現在ではスマートな群衆制御システムが導入され、混雑時でもスムーズに遊歩道を散策できるよう工夫されている。千廝門嘉陵江大橋の上から見下ろす構図や、対岸からの全景ショットは、旅の記憶に一生刻まれるほどの視覚的インパクトだ。