厳重な戒厳態勢のもとで挙行された赤の広場軍事パレードは、運営面でも異例の緊迫感が漂っていた。モスクワ中心部では通信規制が敷かれ、ドローン対策の防空・電子戦システムがフル稼働。歴史的建造物が並ぶ広場には、厳選された兵士と招待客のみが入場を許された。こうした厳戒態勢の舞台裏には、安全確保と同時に、体制の健在ぶりを内外に見せつける強烈な演出意図が存在する。
国営のTASS通信が伝える公式発表の裏で、現地特派員が目撃したのは徹底的に統制された空間演出だ。隊列を組んで行進する兵士たちの足音は整然と響き渡り、観客席には退役軍人や政権幹部が整列した。しかし、かつてのような祝祭感はなく、冷ややかな緊張感が会場全体を支配していた。