『アルスラーン戦記』の完結に際し、多くのファンが激しい失望や拒絶反応を示した最大の理由は、「あまりにも唐突で救いのない大量死」と「駆け足すぎる描写テンポ」の2点に集約されます。
物語の前半(第1部)で描かれたのは、国を追われた心優しい少年王太子アルスラーンが、忠臣たちと絆を結びながら逞しく成長し、過酷な試練を乗り越えて王都を奪還する王道の英雄譚でした。しかし、第2部に入ってからは魔導士や蛇王ザッハークといった魔物・怪異の超常的な脅威が全面に押し出され、大河戦記としての政治劇や知略戦の魅力が急速に後退していきます。
そして迎えた最終16巻では、読者が長年愛してきた無敵の仲間たちが、まるでノルマを消化するかのように次々と命を落としていきました。長大な伏線やキャラクターの心情を深く掘り下げる間もなく、わずか数百ページの中で主要戦力が壊滅していく様は、長年完結を待ち望んでいたオールドファンにとって「これまでの旅路は何だったのか」という深い虚無感を残す結果となったのです。