2026年の今年、彼女のトレーニング現場を取材する機会を得た。そこにいたのは、ストイックという言葉すら生ぬるいほど、黙々と壁に向き合う一人のアスリートだった。日本山岳・スポーツクライミング協会の強化拠点でも、彼女の練習法は群を抜いて独特だ。
一般的な重量トレーニングにはほとんど時間を割かない。代わりに彼女が徹底して行うのは、数ミリ単位の微小なキャンパシングボードを使った指先強化と、インナーマッスルを極限まで締め上げる体幹コントロールだ。1日の練習が終わる頃、彼女の指先は皮が擦り切れ、チョーク粉で白く染まる。それでも「まだ登り足りない」と笑う笑顔の裏には、壁を愛してやまない純粋な探求心が隠されていた。2026年シーズンに向け、課題であった瞬発的な跳躍系の動きも劇的にブラッシュアップされており、その進化には一切の妥協がない。